プロジェクト管理VBAなどのテクニック-その5

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設計進捗データーと進捗度入力の応用編 -1

ここでは、初回発行進捗、客先承認進捗、最終発行(For Construction)などの複数のマイルストーン進捗率で計画した応用編の計算例を紹介します。
計算式は基本的に前項の基礎編と同じですが、一部をスキップしている部分もあります。
 
予定・実行進捗データー表

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予定・実行進捗データー表(B列からK列)
次のマイルストーンについて、各図書の予定と実行の日付データを入力した表です。
● 第一回発行:進捗率50%
● 客先承認  :進捗率40%
● 最終発行  :進捗率10%
これはカテゴリーとマイルストーンの3次元マトリックスデータです。 リレーショナルデータベースとは違い、「見える化」でデータ処理をします。
予定と実行もありますので、4次元マトリックスデータかもしれません。

予定・実行進捗日付データー入力表(F列からK列)
各マイルストーン毎に予定と実行の日付を入力する欄です。

SUMIF用集計範囲の条件表(T列からY列)
カテゴリーコードと月1日の変換を一度の関数で、SUMIF用集計範囲の条件データを作成しています。
 
SUMIF用集計範囲の条件表

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コード・各月毎に集計するSUMIF関数用の条件表(AA列からAG列)
AA列からAG列:各カテゴリーと各月毎に進捗値を条件に合う部分だけ集計するためのSUMIF関数用の条件です。
この例では、予定と実行の各月条件データ全てを作成せずに、各月ごとだけ(予定と実行用共通)のデータにしています。 このため、実行進捗値の計算出力表-1の計算式をX軸方向にオートフィルすることは出来ません。
基礎編と同じように、実行進捗値の計算出力表-1と同じレイアウトで作成すれば、実行進捗値の計算出力表-1の計算式をX軸方向にオートフィルすることが出来ます。
 
実行進捗値の計算出力表-1

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実行進捗値の計算出力表-1(AI列からBS列)
各月毎に、各マイルストーンの予定と実行の進捗値の計算結果を出力しています。
これは進捗計算出力基本データで、計画した進捗管理の全てのパラメータ毎の進捗値が出力されています。
このデータ出力があれば、プロジェクト管理に必要な各種レポート出力を作成することが出来ます。
例えば、下段のカテゴリー毎の進捗率(表-3)、マイルストーン毎の進捗率(表-4)などを出力することが出来ます。
 
実行進捗率(%)の計算出力表-2

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実行進捗率(%)の計算出力表-2(B列からAL列)
別のシートで、「実行進捗値の計算出力表-1」の全体の値を率(%)に変換した表です。
 
 実行進捗率(%)の計算出力表-3

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実行進捗率(%)の計算出力表-3(B列からN列)
別のシートで、各カテゴリー毎に、マイルストーンの進捗率を合計して、各月毎の進捗率を出力した表です。
 
実行進捗率(%)の計算出力表-4

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実行進捗率(%)の計算出力表-4(B列からAH列)
別のシートで、各月毎・各マイルストーン毎の進捗率を出力した表です。
 
後述
実際のプロジェクトでのデータ項目は数千から数万に及びます。以前はこのようなデータ処理にはデータベースソフトが不可欠でした。そして、SQL(クエリー)機能を有するリレーショナル・データベースも性能が向上しています。
しかしながら、リレーショナルデータベースは多次元の多量のデータを高速で処理できることが大きな特徴と思いますが、一方、「見える化」が出来ない欠点もあり、扱うにはかなりの専門知識が必要となります。
近年はパソコンのハード性能も相当向上して、Excelでも多次元の多量のデータを高速で処理できるようになりました。但し、ひとつのファイルで全てのデータ処理、計算、出力表を作成しようとすると、さすがに重くなり処理に時間が掛かります。
1990年代に16ビットパソコンのDbaseソフトで数千程度のデータ処理、進捗計算に丸々3日を要していました。 それが、2010年最近は、それ以上のデータをExcelで処理するのに数分も掛かるとイライラしてしまう時代になりました。
次章では、多量なデータ入力をカテゴリー毎にファイルを分割して、進捗計算は別のひとつのファイルにする「応用編その2」を紹介します。
一方、購入品の進捗管理も大変大事で、その手法は少し複雑になってきます。特に、免税・国外プロジェクトの場合、プロジェクト立地国での輸入インボイス金額の設定(計算)及び輸入免税品リストの管理を一元化することがキーになります。
また、インボイス金額管理では契約金額の通貨別の金額の消し込み管理を含む場合もあります。以上の機能を含めた購入品進捗管理では、出荷貨物が分割される、或いは、追加のアイテムが出てくるなどのため、データベースのアイテム或いはウエイト(インボイス額或いはその係数)を変更することになります。このようなデータ変更が生じるということは、これまで紹介してきました計算手法だけでは、過去の進捗率まで変わってしまうことになります。一般的に進捗報告は毎月発行しますが、過去のデータが変わっては困ります。この点を回避するために、月毎の計算結果の値を工期全体のテーブルにコピー・値貼り付けして行く手法が一般的だと考えます。
機会を見まして、VBAマクロを活用した購入品進捗管理の例も紹介したいと考えています。
 

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